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戦後80年特別授業「記憶と想像力 のバトン?戦争を知らないわたし たちが紡ぐ言葉?」共催報告

2025年8月3日(日)、特定非営利法人シブヤ大学*の戦後80年を節目とする特別授業「記憶と想像力のバトン?戦争を知らないわたしたちが紡ぐ言葉?」を、教育学科が共催しました。

猛暑の日曜日の午後に、シブヤ大学と渋谷ハチコウ大学の登録学生のほか本学学部生、大学院生、卒業生、教員など、子どもから高齢者まで多世代の約80人が宮代ホールに参集し、シブヤ大学「学長」の大澤悠季さんの司会のもと、3時間にわたり戦争と平和という大きなテーマに向き合い、学び合いました。

授業の前半では、ゲスト講師の岩波書店の雑誌『世界』編集長の堀由貴子さんと、沖縄に関するコラムを毎週1回SNSに投稿するとともに、『ZINE』という雑誌を年1回刊行している那覇市出身の会社員西由良さんが、それぞれの立場から、戦後80年の節目に言葉を紡いで伝えようとしていることについての講義をしてくださいました。80年前の記憶が薄れかけている今、戦争を直接体験した人たちの孫の世代となるお二人が、戦争を繰り返してはいけないという信念のもとに取り組んだ座談会やインタビューにもとづく記事の内容と読者の反響などについてのお話でした。

後半は、「あなたにとっての戦争と平和の境界線は何か」を考えるワークシートに、語尾が「?かどうか」で終わる文章を各自が書いた後に、3―4人のグループで意見交換を行いました。その後、フロアから寄せられたたくさんの質問をもとに、ゲストのお二人と大澤学長によるパネルディスカッションが行われて、授業が締めくくられました。

授業に参加した本学の「生涯学習概論」(担当:澤野由紀子教授)の受講者からは、次のような感想が寄せられました。

?今回、戦争を知らない私たちがどうやって戦争について考え、語り継いでいけるかを、言葉を手がかりに模索した。印象的だったのは、戦争を知ることは?記憶?だけではなく?想像力?のバトンを受け取ることでもある、という視点だった。80年前や50年前の出来事を?記憶?として残すことの大切さはもちろんだが、同時に、沖縄戦のすべては知ることができない、手の届かなさを実感した、というお話があったように、完全に理解することはできないという限界も痛感した。だからこそ、わかろうとし続ける、わかるとわからないを行き来し続ける姿勢が大事なのだと感じた。また、SNSでは強い言葉や白黒ついた意見が目立つ一方で、本や紙の中では、著者の静かな声に耳を傾ける時間があるという話も印象的だった。確かな答えを求めてしまう世の中で、答えを出した気にならないことや、これはやらなくてはと思わなくてもいい、といった言葉が、今の私にとって救いのように感じた。(教育学科 3年生)

?外国人留学生という立場から沖縄戦の歴史について学ぶことができ、とても貴重な経験になった。歴史というものは、それぞれの視点や背景によって理解のされ方が大きく変わり、実際にはさまざまな要因に影響されていると感じる。異なる国の視点から、戦争が一般の人々の生活にどのような影響を与えたのかを考えることができたのは、本当に意義深く、貴重な機会だったと思う。また、グループワークで高齢者の方が語ってくださった戦争の記憶は、非常に心に残った。今も生きている高齢の方々が、若い世代にとって最もリアルに「歴史」とつながる存在なのではないかと感じる。人と人とのつながりを通して、感情が伝わり、歴史についての認識と深い思索が促されることに、心を動かされた。(哲学科 3年生)

本学のキャンパスで、80年間続いた日本の平和を享受している学生たちに、深く印象に残る学びの機会を与えてくださったお二人のゲストとシブヤ大学のスタッフ、ボランティア、学外からの参加者の皆様に、心より感謝申し上げます。

*特定非営利法人シブヤ大学:シブヤ大学は校舎をもたず、渋谷の街全体を学びのキャンパスに見立て、若いスタッフとボランティアが授業づくりをしている市民主体の生涯学習団体として国内外で注目されています。本学の教員や学生も生涯学習の事例皇冠体育の対象としたり、ボランティアを行っています。

(教育学科教授 澤野由紀子)

聖心女子大学?宮代ホールでの特別授業開会
教育学科澤野由紀子教授による開会の辞
戦争と平和の境界線についてグループワーク